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「自立した故人になってほしい。」インタビュー タマエスティ国際学生会館 管理人 大西一郎さん

東京都狛江市の南端をゆったり流れる多摩川。緑豊かな河川敷には、散歩やジョギング、サイクリングなどを楽しむ人がやってきます。タマエスティ国際学生会館はこの多摩川沿いに立地。1年を通してのどかな風景に癒され、いつでも気分転換ができる好環境です。

がくるーむはタマエスティ国際学生会館を訪ね、こちらの館長の大西一郎さんに、そのコンセプトやサポート体制についてお聞きしてきました。

当時の大学生の住まいの常識を変えたい思いが基礎に。

まずタマエスティ国際学生会館、設立の経緯からお聞かせください。

設立には私の留学経験も影響しています。私がアメリカのミシガン州立大学に留学していたとき、ある日本人物理学者の家の芝刈りをした縁で、お互いが日本に帰ってからも交流が続きました。ある日その先生から、自分の研究室に来る外国人研究者や留学生の住まいを見つけるのが大変だという話を聞きました。

当時は「外国人には部屋を貸さない」という大家さんがほとんどでした。私はアメリカで部屋探しをして差別されたことはありませんでした。もし、「あなたはアジア人留学生だから部屋は貸さない」と言われていたら、アメリカに対する気持ちはかなり違っていたでしょう。アメリカで出会った人たちは、日本という小さな国から来た20歳ほどの私を、上から目線でもなく、特別扱いもせず、ごくふつうに扱ってくれたことが深く胸に残りました。そんなことから、日本に学びに来る外国人を、そしてもちろん日本全国から東京に来る日本人の学生さんを、気持ち良く受け入れる宿舎があったらいいなと思ったのがタマエスティ国際学生会館を設立したきっかけです。

アメリカの学生の住まいはどんなようすでしたか?

そうですね。私はアメリカで、大学の寮や、学長の家の住み込み管理人、厳格なキリスト教徒やユダヤ教徒の家でのホームステイ、民間のアパートなど、いろいろなところに住みましたが、ミシガン州立大学のコーポラティブハウス(学生が運営する共同住宅)がいちばん思い出深いです。
コーポラティブハウスは今どきのシェアハウスのようなもので、管理運営、料理から清掃まで入居者が行います。当時、家賃が食事込みで180ドル、2万円ほどでしょうか。貧しいが頑張る学生が多く住んでいました。運営はみんなで話し合って決めます。自動販売機に何を入れるか話し合ったら、全員一致でビールになったこともありました(笑)。でも、試験の時期が来ればみんな目の色を変えて勉強するし、自分で考えて、転部や転校をする人もざらでした。学生なのに、各自が強いアイデンティティを持ち自分で考えて行動するというアメリカ人の気質に驚かされました。

タマエスティができた80年代初め、学生会館はどのようなものだったのでしょうか。

当時の学生会館は、高額な女子学生会館が主流でした。女子学生会館は、もちろん男子禁制ですし、門限もあり、留学生の受け入れにも消極的でした。その一方で、4畳半の安い学生下宿も多く残り、地方から上京する大学生の住まいとなっていました。バブル経済の前で、鉄鋼不況、造船不況など、重厚長大と言われる産業が行き詰りを見せていました。

どのような思いでタマエスティの計画を立てたのですか?

そんな時代に、鉄筋コンクリートで家具付きの学生寮を作りたいと言うと、「学生は四畳半で苦学すればいい」と、だいたい否定されました。「ぜいたくは悪、貧しさは善」というのが、おおかたの感覚でした。でも私としては、ぜいたくな住まいを作ろうという気持ちは全くありませんでした。ちょうど世の中にパソコンが登場し、ソフトウエアという言葉が使われはじめた頃でした。ソフトウエアの時代になると、豊かな発想力が決め手になるわけで、学生を四畳半の発想から脱却させたいと強く思いました。それと国際化もテーマでした。

設備の内容はどのように決めたのですか?

国際化と情報化に対応するには、個人が自分のペースで生活できることが第一と考え、部屋は完全個室としました。洋室にベッド、お風呂はその頃は目新しかったユニットバスを入れ、ミニキッチンに冷蔵庫、エアコンも完備しました。カーテンやごみ箱も付け、スーツケース一つで引っ越して来られるようにしました。そんな学生マンションは当時は珍しく、NHKが取材に来たり、大学の学生課の人や不動産業者なども見学に来ました。

デスクがとても大きいのはなぜですか?

パソコンが学生の必需品になると思い、それを置ける広いデスクが必要と思いました。当時のパソコンは、ブラウン管型の大きなモニター付きでした。そこで、ミシガン州立大学の同窓会長の「コスガの家具」の小菅社長におねがいして、幅2.1メートルの大型デスクと、作り付けの大型の本棚を作ってもらいました。その後、パソコンのモニターは薄く小さくなりましたが、大型のデスクと本棚は使い勝手が良いと、今でも喜ばれています。

ほかに工夫したことはありますか?

入居者にラーメン屋の皿洗いではなく、プログラミングやデータ管理などのアルバイトをさせようと思いました。学生は最新のコンピューターに触れながら高収入にもなるし、企業も若い大学生との接点が持てて、双方が喜ぶと思いました。当時は日本の半導体が世界を席巻していて、企画書を持ってNECや東芝などのパソコンメーカーをまわりましたが、どこも取り合ってもくれなかったのが残念でした。そのころの日本企業に、パソコンの開発を大学生といっしょにやる度量があったら、今ごろ日本からもFacebookやグーグルが出ていたかもしれません。

男女国籍を問わず、という入居条件に世間の抵抗はありましたか?

日本人、外国人の区別をつけず、男子も女子も入居可、門限も無し、というのは当時の学生会館の常識では考えられなかったかもしれませんね。他の学生会館のオーナーさんには随分嫌われました。銀行の融資の審査でも問題になりました。でも結果的には、自立心の強いまじめな子が入ってくるようになりました。

日本人の学生の留学相談も受けているのですか?

入居者から留学の相談を受けるときは、「語学学校よりも大学に潜り込むように」とアドバイスしています。短期の語学留学はお手軽ですが、できれば交換留学制度などを利用して、海外の大学に挑戦したらと言っています。長い人生で1年や2年のギャップは無駄にはなりません。それと、準備はできるだけ自分でやった方が良いと助言しています。特に女性はその方が危険も少ない。現地で人を頼りすぎるのはよくありません。

大西さんの留学体験や当時の常識を変えようという思いがタマエスティ国際学生会館の基礎となったのですね。スタート当初はどんな状況でしたか?

運営してみると、皆さんが心配したトラブルは皆無でした。男子寮や女子寮は、異性の目がないがゆえの、だらしなさがありますが、異性や留学生がいると、良い意味で館内に緊張感が生まれました。運営をしながら、施設やサービスにも手を加えていきました。たとえば、スーツケースや冬布団などを預かる倉庫を作ったり、貸し出し用の掃除機やアイロン、工具類をそろえたり。PHSの基地局の誘致や、電話線でパソコン通信をやる仕組みを工学部の学生といっしょに作ったこともありました。

どこの大学の学生さんが多いのですか?

設立直後は東大生がメインでした。当時の東京はアパート不足で、合格発表の遅い東大生は住まい探しに苦労していました。もともと東大の先生たちと近かったので、募集時期を遅くして東大生の受け皿になりました。その後、バイオや生命科学、環境や食料が人気分野になるにつれ、その分野で人気が急上昇した東京農大の女子学生が増えました。通いやすい成城大学や日大商学部、国士舘大学、明大生田校舎や専修大学の学生も多いです。青学のキャンパスが相模原から青山に戻り、小田急線から千代田線直通で表参道駅を通る列車も倍増したので、最近は青山学院大の学生さんも多くなっています。

困ったときは一緒に手伝う姿勢で学生をサポートする。

「なるべく自立して欲しい」というのは具体的にどのようなことですか?

入居者からトラブルの相談を受けると、長いこと学生のお世話をしているので問題はすぐ察しが付きます。でも、自分はだれで、何にどう困っていて、どうしたいのか、と、あえて聞くようにしています。それが説明できないと、まわりの人も助けようがないことを解らせたいからです。そして、やり方を教えて、できるだけ自分でやってみるように話します。いろいろと失敗をしながら、みなさん自立していくので、ご家族もあまり心配しすぎない方が良いと思います。

管理人さんが常駐しているととても心強いですね。では、具体的にタマエスティ国際学生会館の概要や管理運営について教えてください。

タマエスティ国際学生会館は、1階の玄関脇に管理事務所があり、日常の事務管理から、入居者が病気になった時の対応、不在時に配達された宅配物の受け取りなど行っています。
管理事務所の先にはオートロックの防犯ゲートがあり、防犯カメラも設置しています。「お掃除は防犯の第一歩」と考え、館内をきれいに保つことを心がけています。また、入居者が部屋を片付けやすいように、ゴミ出しや洗濯は曜日や時間を気にせずいつでもできるようにしています。お部屋に付いている家具家電の修理や館内の備品のメンテナンスはできるだけ自社で行います。直営なので、中間に管理会社や業者が入らず、スピーティーに対応ができています。

一般的な賃貸物件では修理がなかなか来ないことがあるのでうれしいですね。大学ではWeb授業も増えていますが、インターネットの利用環境はどうですか?

インターネット回線は法人向けの大容量の専用線が引きこんであり、そこから各部屋まで館内LANが配線されています。入居者は、パソコンからLANケーブルをデスク下のジャックに刺せば設定なしでネットにつながり、Web授業でもスピード不足になることはありません。Wi-Fiルーターは自分で好きなものを購入してもらいます。入学後の初月は無料で使え、その後は月1,500円の施設維持費をいただいています。

ネット環境には力を入れているのですね。周囲の環境や住み心地はいかがですか?

タマエスティの目の前は多摩川の河川敷で、南側の2階と3階のお部屋からは多摩川が一望できます。1階も日当たりは抜群ですが、眺望がない分家賃が安くお得です。東向き、西向きのお部屋も窓前は広く、緑が見えます。駅まで3分ほどで、駅前商店街も近い静かな住宅地です。大学の寮よりも設備が良く、民間の学生会館よりも自由度が高いのが特徴と思います。一人の時間と空間を大切にしたければタマエスティが良いし、団体生活が好きなら大学の寮の方がいいですよと話しています。

入居の勧誘はしないのですね。入居者の食生活はどうでしょうか。

一人暮らしを始めるお子さんの食生活を心配されるご家族も多いです。大学に入ると、学校では実習や実験、部活やサークル活動、ゼミや課外授業があり、放課後は、アルバイトや趣味のスポーツ、友達付き合いなど、いろいろなことをします。結果的に、夕方5時に帰宅して部屋で食事をする日は少なくなり、学校周辺やバイト先などで夕食を済ますことが多くなるのが現実です。和泉多摩川駅前にはコンビニがあり、お弁当も買えます。駅の高架下の食品スーパーで食材を買い、お部屋のキッチンで料理をすることもできます。皆さん、それらを組み合わせており、食事で困っているという話はあまり聞きません。

新入生のみなさんは、引っ越しはどうされていますか?

タマエスティは家具付きでカーテンまで付いているので、引っ越しもそんなに大げさにはなりません。たいがい、入居前に段ボール3~4箱ほどの身の回りの物を宅配便で送ってくるので、管理事務所で受け取っておきます。寝具はホームセンターでベッド用の寝具セットを注文し直送する人が多いですね。家電量販店でパソコンを買って、付いたポイントで小さな電子レンジをもらってくる人もいます。最近はネットで注文する人が多く、3月末の管理事務所はAmazonや楽天の荷物で溢れます。

上京してくる学生さんにアドバイスはありますか?

とにかくよけいな物を持ってこないこと。いまどき、自炊道具も100円ショップで十分そろいます。東京に持っていくか迷うようなものは、持っていかない方がいい。部屋の中に物が少ないほど生活は楽です。タマエスティは設備も整っていて、他の学生会館より入居費用も安いのですから、無駄な家財道具を買わず、そのぶん東京で使えるお金を余らせておいて、自分に投資するために使った方が良いと思います。東京でどう住むかより、東京で何をするかを考えましょう。

「物は少なく」は今のトレンドですね。でも、持ってくると良いチョット便利なものはありますか?

しいて言えば、電気敷毛布でしょうか。4月に入居し、5月、6月と暖かくなるのですが、季節の変わり目に体調を崩す学生さんがいて、医者に連れていくと「暖かくして寝てください」と言われます。ベッドパットの下に電気敷毛布を敷いておき、寒いときに使うと体が温められてよいのではと思います。3月に家電量販店に行くと処分品の電気敷毛布が2~3千円で売っています。チョット便利なものと言えばこれでしょうか。

アイデントさんは他にも学生マンションを運営されていますが、設備や管理体制に違いはありますか?

小田急線の生田駅近くに「ジョイフル生田」、向ヶ丘遊園駅近くに「サンフラワー向ヶ丘」という学生向けマンションを運営しています。どちらもお部屋にバス・トイレ、キッチンを備え、収納付きベッド、冷蔵庫、デスク・チェア、カーテン、インターネットのLAN設備などが付いています。共用部には、オートロックの付いたエントランス、防犯カメラ、宅配ボックス、ランドリールームなどが整備されています。管理人は常駐していませんが、タマエスティのスタッフが清掃や設備の点検・修理を行っています。

ジョイフル生田は生田駅まで徒歩7分ほど。明治大学生田キャンパスまで徒歩4~5分なので、実験や部活などで帰りの遅い明大生に人気です。

ジョイフル生田

サンフラワー向ヶ丘は、向ヶ丘遊園駅から5分ほどで、都心のどこにでも行きやすいロケーションです。広大な生田緑地に隣接する静かな環境が特徴で、専修大学には歩いて行かれます。

サンフラワー向ヶ丘

では最後に、お仕事でのうれしい瞬間を教えてください。

私が留学生宿舎の仕事でお世話になっている縫田曄子さんという人がいます。縫田さんは、NHK初の女性論説委員や東京都の局長、国立婦人教育会館の館長などを歴任した人で、中国やアメリカでの生活経験もある国際交流のパイオニアです。縫田さんは、留学生には親切を押し付けず、母国に帰っていつか「日本はいい国だったなあ」と思い出してもらえれば、それが一番の国際交流と言っていました。私たちも、入居者やご家族に安心感を持ってもらい、入居者がいつの日か、「そういえばあの管理人さんたちはどうしているのかなあ・・・」と思い出してもらえたら嬉しいです。

タマエスティ国際学生会館 概要

男女入居可、門限なしという自由な生活スタイル、家具家電付き、常駐の管理人によるサポートという学生寮の良さを持ち合わせていることが特徴のタマエスティ国際学生会館。3階建て鉄筋コンクリート造の建物は新建築基準法に基づく耐震基準を満たしており、東京都都市整備局「新耐震適合マーク」の認定を受けています。お部屋は7割が南向き。窓から見える多摩川土手の桜や緑が癒しを与えてくれます。
タマエスティ国際学生会館では、一般入試で受験される方向けに予約金1万円で合格発表日までお部屋をキープできる「受験生お部屋予約制度」を実施しています。詳細はお問い合わせください。

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